真言宗は空海(くうかい)を開祖とする仏教13宗の1つです。

この空海とは『弘法も筆の誤り』で有名な、『弘法大師(こうぼうだいし)』のことです。 真言宗は現在、真言宗〇〇派というように、さらに細分化しており、主要なものだけで『18もの本山』に分派しております。これらの本山のことを【真言十八本山】と呼びます。

現在の真言宗は大きく、『古義真言宗』と『新義真言宗』に分けることができます。古義とは『古い教義』で、逆に新義とは『新しい教義』という意味です。 その言葉から分かるように、真言宗が日本に普及した『当初の教義を重んじている』のが、古義真言宗で、古義真言宗から分離したのが新義真言宗です。

東寺
金剛峯寺

真言宗の総本山となっている東寺と、修禅の地として真言宗が始まった金剛峯寺は、同じ僧が管理していました。

      興教大師 覚鑁

ですが、11世紀末に覚鑁が金剛峯寺の独立を図りました。そして東寺から金剛峯寺は独立し、覚鑁が金剛峯寺の座主となるのですが、そこで覚鑁は新義を唱え、金剛峯寺のあった高野山で布教しようと考えたのです。ただ金剛峯寺の他の僧から反発を受け、覚鑁は金剛峯寺の座主を辞し、根来山に隠居することとなります。

 このことがきっかけで、『古くからの教義を重んじる金剛峯寺』と、『覚鑁の流れを汲む大伝法院』に、派閥抗争が生まれ、古義真言宗と新義真言宗に分かれることになってしまったのです。

 古義を重んじた『金剛峯寺』は現在、『高野山派』の総本山になっています。

また新義を重んじた大伝法院が根来山に移り、根来寺ができました。


しかし根来寺は豊臣秀吉に焼き討ちにされてしまいます。
この焼き討ちから逃げた僧が新義真言宗を、長谷寺で広めたことから、後に長谷寺が『豊山派』の総本山となっています。 

また根来寺にあった智積院を京都に再建して、後に智積院は『智山派』の総本山となっています。

現在、和歌山にある根來寺は『新義真言宗』の総本山として、興教大師の御廟を守り続けています。

国宝 『大毘廬遮那法界体性塔』通称「大塔」

葛城連峰の端に、広い境内を有し、国宝に指定される日本最大の木造の『大毘廬遮那法界体性塔』(だいびるしゃなほっかいたいしょうとう)通称「大塔」のほか、

「大伝法堂」

宗祖 覚鑁上人独自の教学をあらわす大伝法堂には、重要文化財の本尊大日如来(だいにちにょらい)・金剛薩捶(こんごうさった)・尊勝仏頂(そんしょうぶっちょう)を安置しています。

本尊三尊像と国宝大塔は興教大師覚鑁が高野山大伝法院に創建したかたちをそのまま根來寺において再興した姿を現し、法灯がうけつがれました。史蹟・根來寺境内は中世の佇まいを残し四季折々桜・青葉・紅葉が変化に富み多くの参拝者の目を楽しませています。