法要とは、仏になった故人を供養するという意味の仏教用語で、故人が亡くなったあとに行う追善供養です。故人を偲び、冥福を祈るために、家族や親族の他、故人と親しかった人などを招いて行います。法要は、故人が設けてくれた人と人とのご縁、「この人がいたから自分がいる」というつながりを再確認し、故人への感謝の思いを新たに、自分自身を見つめ直す場でもあります。仏教では、法要を行う日が決まっています。

死後七日ごとに四十九日まで行う「忌日法要(きびほうよう)」と、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌などの「年忌法要(ねんきほうよう)」です。

昨今では、初七日以降の七日法要は省略され、三十三回忌を「弔上げ」として最後とすることが多いようです。法要は命日の当日に行うのが理想ですが、実際には参列者の都合もあり、週末に行うことが多いようです。気をもたせないためにも、命日より早めの日に行うのが良いでしょう仏教では「輪廻転生(りんねてんしょう)」という考え方があり、命日から四十九日の間に、故人が次に生まれ変わる世界(来世)が決まるとされています。

来世とは、「天」、「人間」、「修羅(しゅら)」、「畜生(ちくしょう)」、「餓鬼(がき)」、「地獄」の六道(ろくどう)のことです。しかし、この六道の世界はどこへ行っても煩悩の苦しみがあり、それを超越した世界が極楽浄土です。

残された家族は故人の魂が極楽浄土に行けるように、故人の善を積む(追善)法要を営みます。「十三仏」は初七日から三十三回忌まで、合わせて十三回の法要の守護仏です。
故人は十三の仏様に守られて極楽浄土に導かれ成仏します。

 この十三仏信仰の始まりは室町時代にまで溯り、宗派・地域を問わず大勢の人々に信仰され、今日に伝えられています。この信仰に基づく「ご法事(=年回忌供養)」は、仏さまと精霊(亡き人)と私たちとの三者が一体となる聖なる場であり、お焼香や花・供物などの供養が精霊の成仏のためになるだけでなく、同時に参列した遺族・親族・知人などが、善行の功徳を積んで自己の幸せと死後の安楽のためになるもの、と信じられてきています。十三仏の仏さまとその功徳は次の通りです。

・初七日忌 - 不動明王功徳-煩悩を焼き尽くし、迷いを断ち切り、信心を定めて強い力で導いてくれます。

・二七日忌 - 釈迦如来功徳-説法によって煩悩や邪見(誤った信仰や考え方)を破り、正しい信仰に導いてくれます。

・三七日忌 - 文殊菩薩功徳-分けへだてする愚かさを断ち、物事を正しく判断する智慧を授けてくれます。

・四七日忌 - 普賢菩薩功徳-悟りを求める清らかな心、そして悟りをめざした実践行に導いてくれます。

・五七日忌 - 地蔵菩薩功徳-あらゆるものの苦しみをうけとめ、その苦しみに負けない力を授けてくれます。

・六七日忌 - 弥勒菩薩功徳-すべてのものに対する慈しみの心を授けてくれます。

・七七日忌 - 薬師如来功徳-心身の病苦を除き、苦しみや恐れを除いてくれます。

・百 日 忌 - 観音菩薩 功徳-世の中を広く観察し、すべての苦しみを除く、深い思いやりの心を授けてくれます。

・一 周 忌 - 勢至菩薩功徳-我欲、執着を滅し、とらわれを除く心を授けてくれます。

・三 回 忌 - 阿弥陀如来功徳-生死を離れた、安らかなる心を授けてくれます。

・七 回 忌 - 阿閦如来功徳-何ごとにも揺らがない心と、怒りを離れた安らかなる心を授けてくれます。

・十三回忌 - 大日如来功徳-生命の尊さを知らしめ、生まれながらにそなえている自身の清らかな心に気づかせてくれます。

・三十三回忌 - 虚空蔵菩薩功徳-福徳と智慧を授け、生命の根源に気づかせてくれます。

なお、年回法要は上の他に十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十七回忌、四十三回忌、四十七回忌、五十回忌、百回忌と営まれ、それぞれ大日如来がお導き下さる仏さまと定められています。